NIKUMAN総回診

ポン酢付けりゃうまい

黒服バイト 高級ラウンジ それは魅惑の世界 第6話 同伴

  バイトしていたラウンジが、働き始めて二か月で閉店することに決まった肉(私)。「また次のバイトを探さねばなあ」、とは思っていたがしばらくダラダラと過ごしていた。

 

 

 そんな中、恵子さんから連絡が入る。「店片付けるの、手伝ってくれへんか?給料も出すし。

  

 ああ、行きます と言って二時ごろお店に向かうと、既に椅子やほとんどの備品は無くなっていて、がらんとしていた。そこには、お店で働いていた5人の黒服が全員集められていた。

 

 恵子さんの依頼は、お店に残ったボトルの処分をしてほしいということだった。新品のものは売るというので、整理するのはお客さんの飲んでいたボトルだ。急にお店が閉まることになって、残ったボトルの事で怒る人はいないのかなと思ったが、まあみんなお金持ちだから数万円なんてどうでもいいんだろうと納得した。

 

 

 600本ほどのボトルが出てきた。それを、古いものは捨て、まだ飲めそうなものは同じビンに集めて、満タンのビンを作っていった。作業は、四時間ほどで終わった。ウイスキー、ブランデー、焼酎など100本ほどの満タンのビンができた。

 

 これもどこかに売るのだろうと、終わったことを恵子さんに告げ、どこに運ぶかを聞いてみると、「みんなでもってかえって」と言う。

 

 ああ、くれるんだ、と思ってみんなで分けたが、その時はあまりどのお酒が高いのかとか、わかっていなかった。当時の写真を振り返ったらなかなか凄かった。

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 その日たまたま、お店のある通りで、なにかイベントをやっていた。ルイヴィトンとかシャネルとか、どっちか忘れたが世界的ファッションブランドのデザイナーたちのパーティー。これを祇園ど真ん中の通りを貸し切り、一般人を締め出して、舞妓さんを大量に呼んでやっていた。どんだけ金がかけんだ。

 

 

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  世界的有名人も数名いたらしい、サパリわからなかったけど。今思えばたぶんダメだが、それに交じって通りを歩いてみた。ガチガチの完璧なスーツや、一般人には理解できない前衛的な服装のおじさん、女性だらけの中、クソTシャツの肉にもタダのシャンパンをくれた。

 

 

 恵子さんは終わった後みんなをご飯に連れて行ってくれた。その後、バーにみんなを連れて行った。そこには、お店で働いていた女性が数名待っていた。それは最後の打ち上げだったのだ。

 

 そこで恵子さんは全員に紙袋をくれた。そこには和菓子の詰め合わせと、封筒が一つ入っていた。封筒の中身は二万円だった。

 

 ああ、これで終わりなんだなと思っていると、恵子さんは一人一人に「この後仕事決まってんの」と聞いていた。女性は、「ほかの店に行きます。」とか「昼の仕事に戻ります。」、黒服も、「バイト決まりました。」と、なにも決めていなかったのは肉だけだった。

 

 恵子さんは肉にも聞いた。何一つ考えてないことを伝えると、「知り合いが同じような店やってるから、行ってみーひんか。」と言われた。行くというと、「明日12時に店で」と言った。

 

 ここから、このお店で長く働くことになる。女性の事も、お金のことも、仕事のことも、この業界のことすべては、このお店で知ることとなった。

 

 

 

 

 今回、同伴について

 

 同伴は、ご存知の方も多いと思うが、お客さんが女性と一緒にお店に入店することである。

 お客さんと女性が同伴の約束をし、食事するお店の前で集合して、一緒にご飯を食べて、女性の働いているお店に一緒に入店するといった流れだ。

 

 

 同伴をする場合、女性は本来八時に出勤のところを、お客さんと一緒に入店するので、九時に出勤となったりする。そうすると、一時間分の時給が女性に入らなくなってしまうので、それを埋め合わせるために同伴料金が存在する。

 

 これは、3000~7000円ほどで、そのうち三割ほどがお店に、7割が女性に入る。

 

 女性が同伴をすると、お店は一時間分の時給を女性に払わないでよくなり、その上同伴料金の一部が入ってくるので、かなりの得となる。なので、お店によっては月に同伴を~回しなければならないと、ノルマを設けているところもある。

 

 同伴は、女性から同伴してほしいとお客さんに頼むこともあれば、お客さんが女性に頼むこともある。お客さんが頼んだ場合はほとんど断られることはない。お客さんが食事するお店を選んでもいいが、ほとんどは女性が決める。女性は、同伴用の食事するお店を知り尽くしているので、任せておく方が安心なのだ。

 

 

 しかし、こんなこともあった。

女性の彼氏が料理屋さんのオーナーで、多くのお客さんを同伴で彼氏のお店に連れて行っていたのだ。

悪いことをしているわけではないが、そんなことは露知らず、お気に入りの女性と楽しそうに同伴するお客さんを見るのは、なんとも悲しい気持ちだった。

 

 

 食事代金はお客さんが払う。食事をおごって、同伴料金を取られて、大変である。同伴に使うような食事するお店は、そんなに安いものではない。それでいて、得られるものはお気に入りの女性と二人で食事できる1時間半ほどの時間。

 

 正直、肉には何が楽しいのかよくわからなかったりする。。。むしろご飯は一人で食べたいのだ。。

つづく

 

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