NIKUMAN総回診

ポン酢付けりゃうまい

読むだけでやる気が滝のように湧く本 第二話 余生 北野武

 余生 北野武

 

余生 (SB文庫) [ 北野武 ]

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感想(1件)

 この人は何者なのか。ということがよくわかる。読者に話しかけるような文体で、あの話し方そのままで、彼が思っていることを淡々と語ってくる。

 

 当然、彼は偉大過ぎる人物だが、意外なことにそこまでやる気にあふれた人間でない。これを読むとそれに気づく。

 

 生きるのにそんなにやる気は必要ないのだ。やる気なぞ出さなくても、生きるだけならアルバイトでもボケっとやってりゃ人は生きていける。しかし、どんな働いていないようなどん底の人でも、どうせなら楽しく暮らしたいと思ってしまうものなのだ。

 

  それは当たり前のことだ。しかし、楽しく暮らしている人など、実はいないのだ。肉(私)は、人より多くの金持ちを見た。大量の金持ちを見た。底辺の位置から金持ちを見上げた。しかし、楽しそうな金持ちなど一人もいなかったのだ。

 

 ヒトはよく、死んだら地獄に行くとかいう話をする。しかし、肉は、むしろこちら側が地獄で、死んだらもっとましなところに行けるのでは、と思う。こちらが地獄だから、死んではいけないと思うのだ。思わされているのだ。地獄から脱出させないために操られているのだ。

 

 話がそれたが、彼の頭の中を覗けば、世界をもっと正直な目で見ることができるようになるだろう。優しさとか、思いやりとか、そんなもの不要で、大切なのは自分の幸せだけなのだと気付いてしまうかもしれない。

 

 

 

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