読むだけでやる気が滝のように湧く本 第三話 「天才」
石原慎太郎 天才
価格:1,512円 |
数年前、少し話題になったのでご存じの方も多いであろう。この本は、田中角栄の一生を、石原慎太郎が描いたものである。石原慎太郎は田中角栄と交流があり、石原慎太郎本人もこの本に登場する。というか初め、田中角栄と真っ向から対立する。
田中角栄が自分の人生を振り返るといった形で、この本では語られている。伝記のようなものだ。語り口は田中角栄そのものだ。
かつてあるテレビ番組で上岡龍太郎が言っていた。
「僕は幼いころよく伝記を読まされていたんですが、その時伝記の法則というものに気づいたんです。伝記というのは全部同じストーリーなんです。その人は幼いころいろんな悪いことをやったり落ちこぼれであったりするんですが最後には偉い人になると。」
この本も同じである。田中角栄が二歳のころから話は始まるのだが、いきなり重病にかかる。そしてそれが原因となってどもりになってしまい、そのせいで内気で引きこもりになり、いじめられた。
しかし彼は総理大臣になる。
そこに至るまで人生での出来事が淡々と語られ、総理大臣になったのち、ロッキードから失脚し、死ぬまでのことも書かれている。
何があった何があったと、本当に淡々と描かれている。しかしその所々で、こう思ったからこうした、こうだからこうだ、と田中角栄の思想がちりばめられている。そこには人心掌握のテクニックや、処世術など多くのことが読み取れる。
そういった中で、一貫しているのが、俺は俺の思ったとおりにやる ということだ。
この本の一文目も
「俺はいつか必ず故郷から東京に出てこの身を立てるつもりでいた。」となっている。