高貴な桃太郎 第六話
鬼と手を結び、隣国を征服することを決めた桃太郎。隣国は大きくはないものの、とても豊かで平和な国でした。そこには一人の少年が住んでおりました。
少年は毎日、両親を手伝い、畑で働いておりました。ある時、少年は家の近くに、一匹のやせこけたサルの死骸が落ちているのを見つけました。
「おおこれはかわいそうだ。何も食べ物がなく死んだのだな、、どれ」
少年は小さな墓を作ってやり、手を合わせました。すると、なんとなんと天から声が聞こえてきました。
「少年や、お前はやさしい子ですね。私はその猿です。お礼にあなたにあることを教えましょう。私はある僧に食べ物を恵んでくれと頼んだところ、その僧に長々と説法を聞かされているうちに死にました。今度、その僧が鬼と手を組みこの国に攻め入ります。早く皆に知らせなさい。」
少年は町に走りました。そのおかげで、何とか国の半数の人々は桃太郎が来る前に脱出することができました。しかし、桃太郎は国のすべてを破壊し、奪いつくしました。
破壊活動を終えた桃太郎の去り際、少年は勇敢にも叫びました。
「いつかお前に死を教えてやる。覚悟しておけ。」
桃太郎は高笑いをして去りました。桃太郎は、人を苦しめれば自分が幸せになれるのだなと悟りました。すなわち、苦しみを遠ざけることが喜びであり、人生の目的なのだなと悟ったのです。
少年は家に帰りました。少年がそこで見たものは、かつて家だった瓦礫と、ぼろぼろになった両親の姿でした。