高貴な桃太郎 第五話
ついに、鬼の本拠地にたどり着いた桃太郎一行。門を開け、鬼たちの前に進み出てこう言いました。「私を打ちなさい。私はここに打たれに来たのです。」
云うまでもなく、鬼は桃太郎に襲い掛かり、打とうとしました。しかし、あまりの桃太郎の尊さに、振り上げた金棒を振り下ろすことができませんでした。
「早くしなさい。私は苦しみを、死を知りたいのだ。これは私が望んだことなのだ。」
どんなに頼んでも、鬼は従いませんでした。桃太郎は困ってしまいました。
「これでは、私は苦しみを知ることができない。どうしよう。」
悩んだ果て、こんなことを思いつきました。
他人を打つしかない
他人を打ち、その反応を見て苦しみとは何かを知ろう。
早速、鬼と話を付け、桃太郎は隣国へと進軍していきました。それはそれは強大な軍隊でした。