忘れられない…… 悲劇映画のような 香川マンチェスターユナイテッド物語 ①
さて
連日、レアルマドリードの久保建英選手のニュースをネットやらテレビやらで目にします。Bチームに回されるだとか、いやあれだけ実力があったらAだろ、とかいやいやレンタルかもしれない、と様々な憶測が飛び交っています。今ある情報だと、レンタル移籍にだされるというのが濃厚なようです。
レンタル移籍と言うと、あんまり使えるかわからないからほかのクラブにとりあえず育てといてもらう、というようなイメージで、あまりポジティブな印象は受けませんが、(アーセナルにレンタルでたらい回された挙句放出された宮市亮や浅野琢磨)、久保選手はかなりの有望株としてレアルマドリードも真剣に考えてくれているようなので、むしろレンタルでよかったという意見もよく見かけます。
他にも、G大阪の食野選手がマンチェスターシティに移籍したり、酒井宏樹選手がトッテナムの獲得候補にあがったりと、日本人が世界トップレベルのチームに移籍する、というニュースが最近よく目にしますが、なんだかそこまで盛り上がってはいませんね。みんな、「あぁ、頑張ってほしいね」といった感じで物凄くクールです。
こんなの本来なら、もっと大騒ぎになりテレビでも連日取り上げられるレベルのスーパービッグニュースだと思うのですが、近年は多くの日本人選手が海外に挑戦しているので、日本人も慣れてしまったのでしょうか。だんだんサッカー大国になりつつあることの表れなのかもしれません。
長友選手のインテル入団時の反応
本田選手のミランの時の反応
凄い盛り上がりですね、、。
そんな時、どうしても思い出してしまうのが香川真司選手がマンチェスターユナイテッドに移籍した時ですね。あの頃のマンチェスターユナイテッドは世界のトップクラブと言っても過言ではありませんでした。当時、香川選手もドイツのドルトムントで大活躍をし、ドイツのベストイレブンに選ばれたりもしていましたが、まさかマンチェスターユナイテッドに移籍するとは誰も夢にも思わず、大騒ぎとなりました。
あの頃イングランドのサッカーは、スペイン、ドイツのサッカーに比べて非常に時代遅れなものでした。サッカーの戦術は日々進化し、細かくパスをつないで相手ゴールに迫る最先端のサッカーをスペイン、ドイツのチームがドンドン採用していく中、イングランドのチームは長いパスを蹴って足で勝負するような原始的なサッカーをしていました。マンチェスターユナイテッドもそんなチームの一つでした。
それに危機感を覚えたのが、マンチェスターユナイテッドの伝説的監督、アレックスファーガソンでした。
ファーガソンはイングランド的原始サッカーの第一人者で、前シーズンはマンチェスターユナイテッドをイングランド二位に導いていましたが、柔軟な考え方で、時代に合わせていかなけばイングランドのサッカーは最先端から置いて行かれると考えました。
そして考えたのが、現代的サッカーのプロフェッショナルと言えるような選手を獲得し、その選手を中心に置いてマンチェスターユナイテッドを改革しようということでした。
そこでマンチェスターユナイテッドのターゲットに上がったのが、
香川真司だったのです。
世界的監督アレックスファーガソンは、香川真司、日本の23歳を来期の世界的クラブマンチェスターユナイテッドの中心に据えることに決めたのです。
これには衝撃の出来事でした。
移籍は、実現しました。
世界的クラブに中心選手として迎えられた香川真司は、超特大のインパクト‼とまではいきませんが少しづつマンチェスターユナイテッドを変えていきました。
初めはやはり、うまくいきませんでした。ずっとイングランド的サッカーをやってきたチームに、現代サッカーの申し子である香川真司をうまく受け入れるのは難しかったのです。
それでも、ファーガソンは香川を信頼し続けました。
効果は徐々に現れました。
ピッチ上では、昨シーズンまでできるだけ遠くのスペースにボールを蹴っ飛ばすことしか考えていなかったマンチェスターユナイテッドの選手が、これで本当にいいのかと半信半疑になりながらも、近くの香川を探すようになりました。香川もボールを受けては細かいパスを繰り返し、チームにリズムを与えながらボールを前に進めていきました。
チームのそんな戦いぶりは、誰の目に見ても昨シーズンのマンチェスターユナイテッドより素晴らしいものでした。
香川は派手なプレーこそ無いものの、現地、そして世界中のサポーターの心を掴み始めました。
そして、チームメイトも徐々に香川を信頼し始めました。
そして、香川はとうとうハットトリックも成し遂げました
[高画質] 香川真司 ハットトリック vs ノーリッジシティ Shinji Kagawa Hat trick
見てください、このルーニーの香川に対する信頼を!
サポーターは「今年はもしかしていけるのか?」と感じ始めました。
その予感は、当たりました。
マンチェスターユナイテッドは、香川が入団した2012-13シーズン、イングランドプレミアリーグ優勝を成し遂げました。
香川真司の力を、サポーター、チーム、監督、すべてが信じていました。
来シーズンは、もっと力を発揮して、どんどんスター選手となっていくだろうと、誰もが思いました。
しかし、、、、、、、
思いもよらぬ事態は、起こりました。
恩師 アレックスファーガソンが、シーズン終了後マンチェスターユナイテッドから去ることを発表したのです。
これには世界中が予想外でした。ファーガソンはそれまで27年間マンチェスターユナイテッドを率いてきました。そんなファーガソンが、まさか、、、、、、、、、。
ファーガソンは、香川に最後の言葉としてこう言ったそうです。
「マンチェスターに来てくれて本当にありがとう。君は来シーズン絶対良くなる、確信している。」
ファーガソンが去った後、マンチェスターユナイテッドに監督としてやってきたのは、デイビットモイーズという男でした。
天才すぎる…
続く